初の作家さんで、何の予備知識も無かったのが功をそうしたのか買って正解でした。文章が読みやすくサラサラと読めます。12編ともなると、全部が全部面白いはずが無い…と思いつつ。それがどうして、面白かった!【見知らぬあなた】夫が殺された。そこから又、学生時代に文通をしていた相手からの手紙が届く。姿を現さない文通相手。ストーカーなのか?【ささやく鏡】覗き込むと未来が見える鏡。未来を見た私は、果たして幸せになれたのか。【茉莉花】単身赴任の父に会いたさゆえに、私は離魂したのか?父の手紙の謎が、最後に解き明かされる。【時を重ねて】奇跡が写し出された1枚の写真。幻想的で切ない。【ハーフ・アンド・ハーフ】契約結婚のような生活から、普通の愛情のある結婚へ踏み切りたい主人公。かなり複雑な三角関係。ブラック・テイストな結末。【双頭の影】寺の天井に出来た不気味な影。この中で一番、ホラーかも…。後を引くコワさがあります。【家に着くまで】おしゃべりなタクシー運転手に、うんざりしながらもその話に入り込んで行った結末は?【夢の中へ…】優等生から劣等性へとなってしまった少年。悪夢でしかない現実から、優等生だった頃に戻れる「夢」への危険な道。【穴二つ】ネット・ストーカー話。切ない読後感…。【遠い窓】壁に掛けられた絵の虜になった少女。夢と現実を混ぜて、自分の殻に閉じ込めてしまう少女の妄想が怖い。【生まれ変わり】少年の頃、大好きだった叔母が死んだ。その叔母の生まれ変わりの女性と出合ったことから、始まるお話。こんな勘違い男と出合ったら…コワすぎる。【よもつひらさか】〈表題作〉娘と孫に会いに行った先で、通ったなだらかな坂道。一人で上ってはいけない坂道なのに…。ファンタジー・ブラック・ストーカー・ホラー・冥界…色々盛り沢山な内容で飽きることなく読み進められます。秀作揃いの短編ミステリーなので、知人にも薦めらます。 よもつひらさか (集英社文庫) 関連情報
今邑さんの小説が大好きで、もう読めないのが残念でなりませんでした。未収録作品を丹念にあつめた本作が出て、本当にうれしい。既読の作品もあるけれど、改めて読むと、ミステリとホラーの境目をたゆたい、不安定な揺らぎで読者を最後までひきつける力量に魅了されます。今邑さんのジャケットといえばこの方(と個人的に思っている)、北見隆氏のイラストとともに、新鮮な気持ちで読み終えました。解説にも書かれていますが、これが最後と言わず、また未収力作品がどこで見つかり、新刊がでることを願ってやみません。 人影花 (中公文庫) 関連情報
「意外な犯人」と聞いていたので、つい犯人を予想しながら読んでしまって、最後の驚きが半減してしまいました。純粋な気持ちで読んでいれば、もっと面白かっただろうなって思います。 この方の作品は、描写が気持ち悪い部分が少しあるので、そこが私は苦手です。でも、内容は多重人格者の話で興味深かったし、すらすら読めました。恋の発展もほっこりした気持ちになりました。先輩の存在が主人公の女性を幸せにしてくれると思ったんですけど。でも…最後は悲しい結末になりそう。。 ルームメイト (中公文庫) 関連情報