生きる屍 ランキング!

生きる屍 生ける屍 (ちくま文庫 て 13-1)

作者の作品としては「キングとジョーカー」に次いで本作を読んだ。幻の名作との噂が高かった作品だが、噂に違わず、まるで"夢魔"に誘われたかの様な幻想と狂気の世界、そして現実世界との対比が鮮やかな秀作。「生ける屍」とは「肉体と服」だけの、例えば本作の主人公である社会(会社)に忠実で勤勉だが、自らの志には乏しいサラリーマンの様な、世間一般の人々を指す。この「生ける屍」が、カリブ海のある島で否応なしに巻き込まれた魔術的体験を巧みに描いたもの。全体として狂騒感に溢れているが、巻き込まれた主人公は傍観者然としている辺りも上記の対比を浮き彫りにしている。主人公が巻き込まれる殺人事件、民衆の"徳性"を改良するために国家の独裁者が企む人体実験、革命派の闘争、島の村での呪術的信仰などが、渾然一体となって読者に圧し掛かって来る。冒頭、主人公がカリブ海に飛ばされる辺りは、作者が何を意図しているのか良く理解出来なかったが、人間の集団がもたらすある種の幻想や狂気を描いている事が次第に分かって来た。国家にせよ村にせよ、人間が集まれば、そこにはある種の幻想や狂気(信仰と言っても良い)が生じる。それに従う者もいれば(特にその頂点に君臨しようとする者もいる)、それに従わない者もいる。この世は、そうした幻想や狂気の世界の中での闘争や協調で成り立っている事を風刺的に描いたものとの印象を受けた。作中には登場しないが、主人公が再三言及する元恋人が居る。本作のラストは、その元恋人との繋がりを通じて、主人公が協調の道を模索しているものだと信じたい。 生ける屍 (ちくま文庫 て 13-1) 関連情報

生きる屍 俺の屍を越えてゆけ PSP the Best

「気にはなるけれど、賛否両論あるし、中々手が出しにくいし」、という方はこれを機にプレイしてみては如何でしょうか?詳しい内容は通常版のや復活限定版等のレビューを参考にして頂ければ良いかと思います。このゲームは独特のルールが多く、初めは戸惑う事も多いとは思いますが、一度ハマればもう止まりません。先ずは、『キャラクターには寿命がある』、『ダッシュをすると体力(HP)が減る』、『「健康度」という数値が著しく低下したキャラクターは死亡する確率が限りなく高くなる』、という事を覚えておいて下さい。イベントらしいイベントは少ないですが、「このキャラクターは、実はあのキャラクターが好きで……」等、自分ストーリーを脳内補完するのが好きな方には向いています。「この迷宮のボスを倒すには先ず、あーしてこーして、その為には先ずはあの迷宮であの武器を奪取して……」等と、色々と戦術を考えるのが好きな方も楽しめるのではないでしょうか?今は、プロダクトコードでしか入手出来なかったキャラクターやアイテムもPSストアで随時無料配布されていますので、プレイの幅も広がって楽しめると思います。PSPリメイクにより、オリジナル(PS)版と、術(魔法)等の性能が大きく異なったり、声優さんが変わったりもしていますが、PSPからの新規プレイヤーさんなら、然程気にはならないかと思います。(私的な事なのですが、Best版より、中古でも通常版を買った方がジャケットの見た目が良くてお勧めかと思います。入手が可能なら復活限定版もお勧めですよ) 俺の屍を越えてゆけ PSP the Best 関連情報

生きる屍 生ける屍の死 (創元推理文庫)

(以下ネタバレが含まれております。ご注意下さい)「死者がよみがえること」を虚像の世界ではなく、現実の世界であるという前提のもとに書かれた小説である、という点を、・素直に受け入れることができて、そのうえでこのミステリーの世界に入り込むことができるか・どうもその点ひっかかってしまい、なんともすっきりしないかどちらの部類に入るかで、評価は分かれてしまうのでは、と思うのが本作品です。解説者の方も、後者のような人の批判の「抑え込み」に入ったかのように、この前提を擁護していたのが印象的でした。実は、私はどちらかといえば後者でした。なのになぜ、高評価なのかといいますと、解説者の説得に屈したからではありません。日本人が書いたこの作品は、海外ミステリーファンの私が読んでも、驚くほどのできばえだったからです。クイーン、ブラウン、クリスティ、ドイル、カー、クロフツ、彼らのファンの方、是非ご一読下さい。日本人にも、こんな世界観を表現できる作家さんがいるのです。実際、作者も彼らの信奉者だったらしいのでうなずけます。実はまだこの作者の他の作品は読んでいないのですが、とても楽しみです。 生ける屍の死 (創元推理文庫) 関連情報




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