新堂冬樹 ランキング!

新堂冬樹 カリスマ〈上〉 (幻冬舎文庫)

この最初の序章に描かれる女の金切り声を上げる描写に、心底震えると同時にこみ上げてくる笑い。圧倒的カタルシス。恐ろしく残酷な描写に絶望と笑いの境界線を神業的技量で描ききる筆者の文体には衝撃を受けた。自己欺瞞に命をかける登場人物達がすさまじい醜態をこれでもかというほど執拗にさらけ出す。彼らの行動、言動、思考は、あまりにも惨めであり哀れだ。しかし恐ろしいことに彼らは完全に僕自身だった。あまりの醜い描写に何度も目を背けたくなった。卑怯な自分が世間にさらされる恐怖におののいた。それでもページは止められない。彼の文体のポップネスが、僕の体を洗脳する。多くの人はそのポップネスを下品なだけだと言う一言で片づけてしまうかもしれない。だがプッチンプリンや松浦あやバリのアイドルのシングルを立て続けに録音したMDをむさぼり聞くカリスマを描くポップネスこそがこの作品を大傑作に仕立て上げている。もちろんストーリー構成も結末におけるカタルシスと絶望も完璧に用意されていまーす無敵!!!!!! カリスマ〈上〉 (幻冬舎文庫) 関連情報

新堂冬樹 溝鼠 (徳間文庫)

あまりにリアルな展開に言葉が出ない。この本を読み終えたあと、絶句してしまった。いろんな感情が頭の中でこんがらがり、ものすごく考えさせられた。生きていく上で、重ねてきた偽善等からくるフラストレーションが、一気にぶっとんでどうでもよくなった。もう、すごいとしか言えません。 溝鼠 (徳間文庫) 関連情報

新堂冬樹 吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)

何の前知識も無く読んだんですが…。「誰よりもつよく抱きしめて」を読んだ後だったので、題名からしてお馴染みの純愛物だと思ったら大間違いでした。「吐きたい」ってそう言う意味か…。「黒子」を読んでる最中、グロすぎて本気で吐きそうになりました。例のチャーハンとか、死姦とか…。特に女性は悪寒が走ると思います。前作通して言えるのはあんな人間達が側に居なくて本当に良かった…と言う事。読み手は必ず矛盾だらけの男達の言い訳に「おいおいおいおい…」と腹立たしく、そして恐ろしく感じて、つっこむでしょう。文章が読みやすくて表現力がズバ抜けて上手いだけに心底気分が悪くなってしまいました。続けて一気には読めない話ばかり。唯一の救いは「まゆか」だけれど、女の子が痛々しい。最後は男の子の言葉にやっぱり傷つき死んでいったのかな、と思うと切ない。とにかく題名を見て、ラブ・ストーリーだと思って読み始めると大変な事になります。虫やらレイプやらの描写は上手すぎて本当にもう気持ちが悪い。一度読んだら二度と読みたくない作品だと思います…。特に一番最後の話は本当に嫌だ。まさに溝鼠やゴキブリの様に狡くて汚い主人公に、「なんでお前なんかが生き残るんだ」と本気でやるせない。正直内容には☆無しなんですが、文章の巧みさに☆3と言う事で…。トラウマになる事間違い無し。本当…。 吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫) 関連情報




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