多情佛心 [DVD]

　なぜかパッケージはカラーだが白黒映画です。里見とんの同題の原作（1923）の三度目の映画化で、一度目は無声、二度目は1934年で、作中の不良ハーフ少年西山普烈のモデルで、罪におちるところを里見や久米正雄が救った江川宇礼雄が普烈を演じているのでこれが観たかった。　さまざまな女と関係して、そのたびごとに真心で愛しているのだとうそぶく主人公・藤代信之は佐野周二だが、そういうのは戦後では通用しない（1957年）。ので、そのへんはさっと通り過ぎて、藤代が胃がんで余命いくばくもないということを早いうちに示し、あとは高倉健の演じる普烈の、西洋人マッケンゼンの現地妻との恋と、現場を発見されてマッケンゼンに撃たれ撃ちかえす、で藤代が弁護士として初めて弁護に立つ、という構成。全体に暗い。原作は、藤代が死ぬのが関東大地震の朝ということになっているが、ここではチャイナ戦争勃発の日の朝とされている。　まあしかし映画のＤＶＤが出ているのに原作が品切れというのはいかにもさびしい。 多情佛心 [DVD] 関連情報

旅路 松竹映画 銀幕の名花 傑作選 SYK-157 [DVD]

佐田啓二と岸恵子の恋愛ものなので期待していましたが、佐田が岸を弄ぶような不良っぽい役柄なのが気に入らないし、二人が別れてしまう最後も不満。これ、「君の名は」の大ファンとしての個人的な感想に過ぎませんが・・・。それにしても、作品が「君の名は」よりはるかにスケールが小さい上に、何度も見たくなるような魔力が無いのはどうにも・・・。監督の力量の差なのかもしれません。ただ、岸さんの美しさと愛らしさはやはり別格で、あの原節子に負けないと思っています。 旅路 松竹映画 銀幕の名花 傑作選 SYK-157 [DVD] 関連情報

宇宙大戦争 [VHS]

　まず、半世紀も前によくこのような映像が撮れたな、と感心してしまうぐらい、月面の描写のリアルさ・特殊技術の高さに驚かされます。内容自体は、侵略宇宙人を人類が協力して打ち倒す！といういたって単純なものですが、その中でも、大人の恋愛あり・愛憎に葛藤する人間描写ありと、ドラマパートも手を抜かず作られている辺りは流石です。　クライマックスは、もう大興奮！乱れ飛ぶ光学光線の嵐をバックに流れる伊福部昭のマーチ曲！特撮好きの人間なら、これで興奮するなと言う方が無理というものです。ラストは意外とあっさりケリが着きますが、侵略宇宙人との戦いを描いた和製SF映画として、「地球防衛軍」に勝るとも劣らない一級品の作品です。 宇宙大戦争 [VHS] 関連情報

某ブルジョア・マダムが離婚。それを二人の新聞�